概要
中学3年のS子との出会いは、
校内で一斉に行われる体力テストの日でした。
体育館の入り口で立っているミニスカートに茶髪の一人の女子が、目にとまりました。
「あなたはやらないの?」
と聞いた私に、人なつっこい笑顔を返したS子と過ごす時間は
少しずつ増えていきました。
嬉しそうなときもあれば、
暗い表情のときもあり、
甘えてくるときもありました。
S子が決まってする話は、
楽しかった小さい頃の家族の話、
家族がバラバラの今の話、
一人で生きている未来の話でした。
卒業を前に
「先生がいなくなったら、生きていけない」
と泣いたS子でしたが、
仕事に就き、今も家族と暮らしています。